

一般地7月中旬〜8月上旬まき11〜12月どり、暖地8月上〜下旬まき12〜1月どりが、最適作型です。十分な葉枚数を確保してから花芽が形成されるじっくり型の品種のため、関東近辺や日本海側など秋が短い地域では、肥大期の極端な低温による収穫期の遅延がみられる場合があるので、早まき栽培がおすすめです。
一方初期生育での低温によるボトニングに対しても強いので、一般地1月中旬〜2月上旬まき、初夏どり栽培も可能です。ただし、花芽形成後の高温は、花蕾生育に障害を発生させる場合があるので、極端な遅まき栽培は避け、遅くとも5月下旬ごろまでには収穫を終えるようにします。
なお、高・冷涼地の6月下旬〜7月上旬まき10月中旬〜11月中旬どりにも適しますが、収穫期幅がせまいので注意が必要です。
春まき栽培では、発芽を均一にするため地温(20〜25℃)を確保します。一方夏まき栽培では、通風、日当りのよい場所を選び、播種後十分灌水し、発芽まで乾燥させないように管理します。特にセル育苗では、徒長を防ぐため、夕方には床土の表面が乾く程度に灌水するのがポイントです。
排水のよい適度に水分のある畑を選びます。特に春まき栽培では、生育が低温期にあたるため早めに畑を準備します。施肥量は、全成分量で10aあたり窒素20kg、リン酸25kg、カリ20kg程度を標準とします。ただし、元来この品種は、草勢強く吸肥力も強いため、多肥条件下では過繁茂による病気の助長や急激な生育による茎の空洞症が発生する場合があるので、株をコンパクトにつくるよう、各圃場の地力に合わせた施肥設計を行うことが大切です。
栽植密度は、10aあたり3,500本を標準としますが、栽培時期によって株の大きさが異なるので多少の増減を行います。株をコンパクトにつくる意味では、大苗定植のほうが向いていますが、セル育苗でも特に問題はありません。冬まき・早春定植の場合は、ビニールトンネルやマルチなど被覆資材を使用すると、収穫期が早まり花芽分化後の高温障害を避けるのに効果的です。夏まき・秋どり栽培のような高温期の生育時に極端な乾燥が続く場合は、スプリンクラーなどで灌水します。また活着後雑草が芽生えはじめたころにカルチなどで中耕すると、除草効果とともに排水をよくし、生育の促進につながります。急激に肥料が効いて生育過多にならないように注意しながら、生育状況に合わせて出蕾前に追肥を2〜3回程度施します。一方花蕾肥大期の完全な肥料切れは、花蕾の小玉化、アントシアンの発生につながるので、最後まで肥料を切らさないように管理することも大切です。
定植圃場に病害虫を持ち込まないよう、育苗時に徹底した病害虫防除を行います。一方、本圃ではべと病、黒腐病、黒斑病などが発生しますが、予防的薬剤散布に努めるとともに、排水性、通風性を良好にし、病害の発生しにくい環境づくりが望まれます。また根こぶ病については、良質堆肥の施用、pHの矯正、排水対策や適切な薬剤散布など総合防除に努めることが大切です。害虫は、栽培時期や生育ステージによって発生する種類が異なるので、それぞれに応じた薬剤を用いて、効果的に防除します。
秋冬どりでは、低温によりアントシアンが発生する場合があるので、適期収穫を心がけるようにします。
※メーカー名:サカタのタネ