加工・業務向けの白~淡緑首品種のシリーズの中でも「健白」は春まきにも適応性のある総太りダイコンです。
●形状と首色
尻づまりのよい総太り型で、収量性が高く、また、首色は白色でほとんど着色しないため、加工・業務用として1本丸ごと、むだなく使い切ることができます。ただ栽培型や栽植密度によっては淡緑色を帯びることがあります。
●草姿
草姿はコンパクトでおとなしく、多肥栽培による葉がち(肥大不良)になりにくい品種です。小葉であることで作りやすさが安定し、そろい性も良好です。
●肉質
肉質は歯切れがよく純白で、高温期においても変色(うるみ)は少なく、加工適性にすぐれています。
●晩抽性
冷涼地の5月下旬まきや、中間地・暖地の3月トンネル栽培ができる程度の晩抽性をもっています。しかし、春ダイコンほどの晩抽性はないので注意が必要です。「健白」の晩抽レベルは、春ダイコンと夏秋ダイコンの中間程度です。春の作型で無理に栽培せず、まずは秋どり中心の栽培を行い、少しずつ夏どりも増やしていくといった使い方がよいでしょう。
「ス入りにご注意!」―適切な肥培管理、適期播種、適期収穫を心掛ける
ス入りは根身の中に起きる異常の一種で、内部の細胞が老化し、白色でスポンジ状の組織になる障害です。高温時の生育が旺盛なものや、冬季でも収穫が遅れた場合に多く発生します。老化現象の一つとされていますが、根の肥大の際に同化産物の供給がともなわず、内容物のない細胞・組織ができて起こる一種の飢餓状態とも考えられます。多肥条件によっても促進され、高温時の生育が旺盛なものにも多く見られます。
「健白」でも収穫遅れや肥料切れによってス入りのリスクは高まります。加工・業務用の場合は、青果向けのダイコンより大きくして収穫することが多いのですが、「健白」をむやみに肥大させるとス入りの危険性が増してきます。
また乾燥により肥料が吸えなくなった場合や、大雨により肥料が流亡した場合、元肥や追肥の量が適正でなかった場合などに、生育が遅滞してス入りが発生します。
「健白」栽培の最大のポイントは適切な肥培管理と適期播種、適期収穫につきます。